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林檎と玉葱
タマネギを切った包丁でリンゴを切ると、見事にタマネギの風味が移る。ちょっと包丁を洗ってからでもやっぱり移る。なぜか、リンゴを切る人というのはこれを気にかけないので、これをたびたび指摘すると、家庭生活がたちゆかない。まことに不思議なことであると思っていたら、同じ意見の人を少なくとも一人は発見した。
時間と手數を省くため、林檎と玉葱を同じナイフで切る。生まれの好いお上品な方々は召し上がる何にでも玉葱の味がするのをお好きなもの。(Directions to Servants, Swift, 1745 → 『奴婢訓』深町弘三訳、岩波文庫、1950)