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名古屋人気質
私は東京生まれの東京育ちであるが、縁あって名古屋に住んでいる。そして、名古屋人についていくらか弁護したくなるときがある。
先日商店街を歩いていたときのことだ。前を行く若者が、花壇のへりに何か紙片を置いている。なんだ、ゴミを捨てちゃ駄目じゃないかと思って近付くと、紙片の上にはごていねいに小石が載せてある。よく見ると、それは文房具屋のサービス券であった。その青年は、おそらく自分でその券を使う機会がないだろうからということで、通行人にこれを提供したのであった。
そういえば、地下鉄で切符を買おうとしたとき、怪しい挙動の男が近づいてきたことがある。そして、一日乗車券を無言でさし出し、私が受け取ると安心したような表情をして去っていったのである(注1)。
また、名古屋のミスター・ドーナツでコーヒーを飲んでいると、点数を集めるとプレゼントをくれるという券をくれる人が少なくない。
名古屋人はケチであると、全国の人は思っているようだ。サービス券を無駄にしないという心持ちがケチだと言えばそうであるが、それを自分で使うあてがないときに人に進呈せねば気が済まぬというのは、やはりケチというのとは違うように思われるのである。
注1・たしか一日乗車券の譲渡はいかんかったような気がするが
(2006/11/12)