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一日目

雨、口、右、石、見、貝、円、立、日、音、王、五、左、六

以下、コシック活字側では省略された画を、草書側ではツナギのために伸張された線をベージュ色に塗る。その他の色は活字・草書でそれぞれの部分に対応している。筆順は、「赤→黄緑→空色→だいだい色→深緑→ピンク→紺」（のつもりだが、統一されていないところもある）。

雨

難しい字は、印象に残るところだけ書けば読めるんじゃないか、ということを考える人はいつもいるのだ。

もちろん、もっと律義な人もいる。草書は字体が権威筋によって制限されなかったので、さまざまなものが書かれる。

口（コウ）

口は、見ての通りで、独立した文字として使われる場合、行書とほとんど差がない。

問題となるのは、他の漢字の一部として使われた場合であって、「ム」になる場合と、「マ」になる場合、「い」や「ソ」になる場合の三つに大別される。

右

下の形の「右」では、口が「い」の形に省略されている。ナの部分の筆順で、縦画を先に書くのは楷書と同じである（cf.左）。下の絵で、緑の画の右端が「つ」のように返してあるのは、勢いというものであり、字の本質的な部分ではない。それを示すために、その部分をベージュに塗ってある。草書の手本によっては、こうした勢いで書いた部分を極力少なくしようとしたものもあるが、草書の性質からして全くなくなるということはない。

石

石も右と同様。

草書の書きぶりというのは、書いた人によってだいぶ違う。これらの違いは、もっぱら美的な問題であって、字体の問題ではないから、以後問題にしない。

見

下の絵で、緑色に塗った部分は、「つ」の中央部から始まっている。これは、「目」の中にある「二」を意識しながら、左払いを書いたような形である。「口」でなくて「目」ですよというアリバイのために、左払いの起筆を「つ」の中央部から始めているとも言える。

貝

「見」と同様。下の絵で、赤く塗った部分は、上の「見」の項目で示した字では省略されている。しかし、これは「見」と「貝」の差ではない。あくまでも書いた人のセンスの問題であり、字体の問題ではない。草書は随分大らかな書体である。

円

円は、もともと圓と書いた。まず、口の部分が、「ソ」になっている形。

つづいて、口の部分が「ム」に近い形になっているもの。「員」参照。

伝統的な楷書では、口の部分が完全に「ム」として書く場合が多い。

立

立のフタの部分は、楷書ではツマミが中央についている。草書は、非対称を恐れないので、書きやすいようにツマミを左端に移動させてしまう。

日

見ての通りである。

音

音は「立＋日」であるが、下の絵で「立」は、上に示した形と、書き順からして異っている。草書は楷書に比べて、部品の独立性が薄いので、このようなことがしばしば起こる。一字一字覚えないといけない所以である。

こうした部品の非独立性を嫌って、できる限り統一性のある字を紹介する手本もある。

王

くるりと結ぶやり型は、行書でも行うので、おなじみ。

五

筆順の異なるもの二つ。どちらも書道字典にある字を参考に私が鉛筆で書いたものだが、それなりにデフォルメした書きぶりである。デフォルメの少ない手本を用いて学ぶほうがいいように思う。

左

右と左のナ部分の書き順は楷書で異なるが、草書でも同じ。

六

ツマミが左に寄るのは「立」と同じ。

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