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三十九日目

助、昭、消、商、章、勝、乗、植

助

昭

どうも、昔は、「昭」の「刀」のところは、ほとんど「ク」であるか、「ソ」であるかしたようだ。下は、唐の太宗。

消

「肖」の「月」の上にある部分は、古い活字では康煕字典風に「小」となっているが、手書きされたものでは現在の活字に近い形のほうが伝統的のようだ。上図は王羲之を真似た。

商

上図左は、漢の時代の隷書を、右は王羲之を参考にした。上図で水色の画とオレンジの画が深緑の画を貫いている理由が理解できる。

下図は[3]に載っていた唐の字であるが、これはむしろ現代の活字と対照して考えたほうがしっくりくるように思う。

章

下図左は、漢の時代の隷書、右は王羲之を真似た。草書は、「ナベブタ」＋「車」の形であるが、その理由が理解できる。「車」参照。

個人的な感想としては、「東」とか「車」とかを、こういうふうに省略するのは、東晋よりも古い感覚のように思える。下は晋の字で、すでにこの形。

勝

唐の時代の楷書に、現在の形と随分違うものがある。下図左は、チョ遂良、右は孫過庭を真似た。

上図の二つはほとんど同じ形であるが、右側のほうで省略されている部分がある。いずれの箇所が省略されたのか、上図は私の勘によって塗った。これ見よがしに延びた画を削るというセンスが発揮されているように思ったからである。

「月」部分については、「肌」参照。

王羲之にも、上の孫過庭とまったく同じ字体の文字がある。（印象はずいぶん違うけど）

王羲之の別の形（下図右）。

もっとも、唐の時代にはすでに現在の活字に近い形が書かれていて、下図は虞世南の書いた形。

乗

上は王羲之の書いた形。オレンジの部分がツナギでなくて骨格であることは、呉の時代に書かれた

を見ると想像がつく。

また、上図で水色部分がオレンジ色より先に書かれていることについては、

のような筆順であったと考えれば納得のいく話である。（上図は、チョ遂良を参考にした。平べったいものを書くときであっても、短い縦画を複数書いてから横画で貫く現代風の筆順は、古い時代には不自然に感じられたのではなかろうかと疑っている。「実」参照）

また、字の中心を縦に貫く画を、下のほうだけ書くというセンスは、王羲之よりも古い時代のもののように思われる。

そのようなことをしてなお残る骨格、つまり、深緑に塗った画を含む「Ｔ」字形（上図左）が、「┓」の形になり、最後には「つ」のような形（上図右）になったのもまた、東晋以前に行われるセンスであると感じる。（糸が理解しにくいのも、この古いセンスのもとに成立した字体だからではなかろうか）

植

上図は孫過庭を真似た。「木へん」は、ときどき「手へん」のようになる。左右どちらの払いが残ったのか。草書において左右どちらの払いも書く場合は、右払いが左払いの終点を始点として右上に向かってハネ上げられるので、上図のような「手へん」式では、左払いだけが残ったようにも見える。しかし、こうしたタイプの右払いは、左払いがあってはじめて成立するものであるから、上図のような場合は素直に左払いだけが書かれたと考えたほうがよいと思う

いわゆる旧字体では「眞」と書かれるものを、伝統的な楷書が「真」と書いていることを考えると、「植」の楷書が

と書かれたのは、納得のいく話である（上図はチョ遂良を参考にした）。

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